英文法の参考書・勉強法(総合英語編)

ぴよ太郎
今回は、英文法の勉強の話をしよう。実は巷では2種類の話が一緒になってしまっている

魔理沙
あれだな、文法書と文法問題集の違いのことだな

ぴよ太郎
うん、そうだね。これらのことは分けて話そうと思う

英文を読むことに関して重要なのは、単語文法です。いやむしろ語学というのは、基本的にその2つが全てです。

また、英文法書英文法問題集は少し意味合いが違います。それらのことについて話そうと思ったのですが、いつものごとく長くなったので今回は文法書のほうだけです。

英文法書

文法書といっても、あくまで高校英語の話です。とはいえ、高校英語には古典的な評論文を読めるほどの文法知識が詰まっています。

逆に、大人が受けるTOEICなどは中学英文法で十分と言われています。それは難解な英文が出ないからです。意外かもしれませんが高校英語って難しいのですよ。

高校英語で文法書は「総合英語」と呼ばれています。Forest も正式名称は「総合英語 Forest」ですね。総合英語は、『文法書+設問』になっているので名称を少し変えているだけで、実質的に文法書です。

Evergreen

まず外せないのが Evergreen です。今記事を書いている2018年現在、Forestの第8版といえる書籍です。(Evergreen と Forest の話はこちらの記事で

で、これ皆さんどうしますか?

読むのか、調べるのか、飾るのか…

ぴよ太郎
このデザインは部屋のインテリアに丁度いいな
霊夢
うん、あんたならそうなると思った

まず、読める人通読しましょう。ただ、皆さんご存知のごとく、昔のぴよ太郎氏なら必ず挫折します。今でも挫折しますね。こんな分厚い本を、読むだけの根性はありません。

しかし、心配はいりません。出来るようになる道はいくつもあります。どの教科も同じですが「何々の本が読めないようだとダメ」なーんてことは全然ありません。以前紹介したと思いますが、私がやったのはこれです。

口語で書かれた文法解説書です。30講×2冊で全60講あり、これを5周しました。

網羅性は総合英語書ほどはないと思います。しかし、難解な本を途中で挫折もしくは1周で終えるより、自分が最後までやり切れる本を完全に覚えるまでやったほうが学習効果は高いです。

そして知らない知識が出てきた時に、『Evergreen』で調べればいいのです。注意点は、はじめから調べるだけの学習では駄目だということです。何の書籍でもいいので通読して全体像(つまり覚えることはこれだけ)をつかみましょう。

今、この書籍を見てどう思うかというと、正直言って完璧な本ではないと思います。ただ、どれだけその本から吸収できるかは重要です。読みやすさをなめてはいけません。

次の本は、図書館にあったので読みました。

2「完成編」もあります。が、内容は十分とはいえません。とはいえ、総合英語を途中で挫折するよりは、はるかに学習効果は高いと思います。

好きな先生の本でいいので、自分が楽しく学習できる道を探すのです。

アトラス総合英語

入試問題が古典的な評論文を扱う以上、その入試問題に対抗しうるだけの内容が必要です。この本はそれだけの力を持った参考書だと思います。レイアウトも良く、読みやすいです。

ただし、文法的説明はしてあるのですが、なぜそうなるのかまではこの本では分かりません。そして、Forestと Evergreenの記事で書いたように、記述が最先端の総合英語書と比べて少々遅れています。

2012年発売ですが、2018年現在で改訂されていません( Forestは3年ごとに改訂されていました)。今後も改訂されるか微妙なところです。というのも、編者の1人がくせの強い人だからです。出版の際にもめたようで、出版社もこれ以上関わりたくないのでは…(推測)


Column :この先生はホームページを持っておられます。たとえば前記事で話した関係副詞の説明のページを紹介しておきます。大人の英文法124-関係副詞の省略

前半の記述は

why については,「the reason why の why は常に省略可能(またthe reason を省略することも可能)」と考えてかまいません。

微妙ではありますが、アトラス総合英語と同じく省略するのが普通とは書いていません。日本人の英語ライター感が出ています。

そして後半の記述がまた面倒くさい。論理学もどきを持ち出しています。何を言っているんだこの人は。

省略というのは、『文法的なルールが先にあって、だから省略可能』という話ではありません。なぜ省略するのかというと、実際にネイティブがそうするからです。彼らの『これは言わなくても分かるから省略するよ』という感覚が先にあるのです。

この先生のコラムも読んでみましたが、本内容に注文をつけてくる教育関係者を「クレーマー」と呼んだり、「シロウトがいいそうなことだ」など、妙なレッテル貼りをして自分を大きく見せようとする傾向があります。内容もそこら中に矛盾があり、論理を追うのが苦手なかたなんだなという印象を持ちました。


とはいえ、「アトラス総合英語」自体は悪くない本だと思います。書籍は1人で作るものではありませんからね。

総合英語be、ジーニアス総合英語

これらも十分「Evergreen」に対抗しうる総合英語書籍だと思います。

10年前と比べても参考書全体のレベルが上がっています。「Forest」を越えようと、各社が頑張った結果だと思います。

小ネタ。似ているなと思ったら著者が同じで、“桐原”から“いいずな書店”への移籍。「Forest」→「Evergreen」と同じパターンではないですか。名前も似ているし。

いいずな書店は新興の出版社ですね。他社より有利な契約を結んでいるのかな。しかし、「Evergreen」「be」「Harmony」と総合英語書を何冊も集めてどうする気なのか(笑)

一億人の英文法

2018年度「NHKラジオ英会話」を担当されている大西先生の書籍です。今や文法書のベストセラーです。私はこの本が出てすぐ、本屋で立ち読みしてそのまま購入しました。

他の文法書は、「○○という文法ルールがあるから、ここはこうなる」という説明をします。それは本来は違います。先行するのは「人が話す言語」です。言語に一定の法則があることを見出し、分類したものが文法です。

文法があるからこう話す、のではなく、人がその表現を使う理由が先行しているはずなのです。

理屈っぽい人間は従来の文法書だと訳が分からなくなることがあります。例えば、関係代名詞の『that』。

Forest の第6版だと「関係代名詞の thatは、whichの代わりによく使われる。主格や目的格の whichと同じ働きをしている」というような説明がされています。

あとは、thatが積極的に使われるのは「先行詞が the+最上級や the+only など特定の1つのものであることを表す修飾語を伴う場合」など。と書いてあります。

これを素直に受け入れられる人は、従来の文法書でやっていけます。しかし、理屈っぽい人は受け入れられない。これは単に thatを使う場面の説明であって、thatを使う理由ではないからです。

which と thatが同じわけがない!」とずっと思っていました。もし同じであれば汎用性のある thatが全てに使われるはずです。理由は分かりませんでしたが、理屈からいって同じわけがない、と不思議でなりませんでした。

この『一億人の英文法』は、そういう疑問に答えてくれている参考書です。理由は書籍を買って読んでもらうとして(オイ)、確かに理由はあったのです。

whichは先行詞をがっちり説明しています。「私が買いたい→車」というように。一方、thatはゆるい説明です。the car と言っておいてから、thatで「どういう車かというとね」と説明を加えているだけなのです。

ただし、結局そんなガチガチの文法どうりに人は話していないことも了解できました。

以前の記事で高校生の英和辞典の記事がありますが、オーレックスやコアレックス英和辞典の“PLANET BOARD”(自分はどの表現を使うかを、ネイティブにアンケートをとったもの)を見るとネイティブでも使う表現が違うのです。

それが言語です。日本語でも、女子高生という知的生命体の言葉は違うのですから。

クセが強い

本書は革命的な書籍だと思います。ただし、問題点もあります。評価サイトで言われているようなことを3点挙げます。

  1. 文型・分類が独特
  2. 大西先生の口調が独特
  3. 索引がない

1.文型のことは「2018年度、NHKラジオ英語講座が始まって3週間」に書きましたが、学校で習う分類とは異なるため、とっつきにくい部分があります。ただし、「NHKラジオ英会話」ではあのこだわりの大西先生が、従来の分類にずいぶん寄せてきてくださっています。

でも、まだあるのですよね。「関係詞」は「WH修飾」になっていますし、高校生だとまわりと話が合わなくなります。よって、初学者向きではないという意見にもうなずけます。

やはり、この本は一度他の文法書をやった後、理由を了解するために読む本かもしれません。

2.クセの強い参考書と言われますが、元々大西先生自体がクセの強い人物です。口語で書かれているので、馴れ馴れしいと感じる人もいるでしょう。しかし、この程度のことがスルーできないようでは、ネットで激論を交わすハメになってしまいますよ。

いい機会なので話しましょう。ほとんどの人は『自分のことを普通』だと思っています。そして、普通じゃないものを攻撃する。この話も、「自分の知っている普通の参考書はこんな口調ではない」、だから「普通じゃない口調が気に入らない」、という思考をしているのです。

普通なんてどこにもないのです。ただ自分の常識を普通と思いこんでいるだけ。そこに気が付かない限り、一生、自分と違うものを攻撃し続けることになるでしょう。

3.

ぴよ太郎
普通、索引くらいあるでしょ。異常だ異常!

魔理沙
てめー、舌の根の乾かぬ内に何言ってんだ!

こういう時は、索引が必要な理由をちゃんと説明するのです。「普通」や「常識」という言葉を使うのは、理由を説明できない人(↑)のすることです。

まず、なぜ索引がないかというと、それは大西先生の「先頭から順に、全部読んで欲しい」という願いがあるからです。大西先生は、Evergreenなどのように「調べる」総合英語書になって欲しくないと思っているのだと思います。

しかも「高校生なら1週間から10日」で全部読むよう書いてあります。要求水準高すぎ! 私は山口英文法の全60講を1日1講、つまり2カ月かけて読みました。1度やったことを学び直すのならともかく、初めて習う時はとても頭が疲れるものです。

しかし、「索引さえ無くせば、全部読むだろう」と考えるのは少々浅いと思います。人間は忘れるものです。たとえ通読しても「どの項目にあったか忘れたけど、ある表現の一部だけは覚えていてそれを調べたい」ということがあります。

むしろ、初学者なら、ある表現の一部だけでも覚えていれば儲けものです。調べて記憶を強化すればいいだけですから。しかしそれがこの本ではできません。

元々後ろに索引が入るはずのページが取ってあります。それが「付録:MEMO」に置き換わっています。出版社側は入れたかったはずです。それを大西先生が絶対に認めなかった。その戦いの跡でしょう。

そして出版してみれば、予想以上に索引がないことへの批判が大きかった。よってしぶしぶ索引をホームページで公開していると。おっと、今は出版社のページで公開していますね(東進の索引ページ)。このように、後は載せるだけのちゃんとした索引が作られているのです。

実はこれ、発売直後に既にありました。その時は、大西先生のホームページにあったのかな。ダウンロードボタンの前に、「やっぱり俺はいらないと思うんだけどな」という主旨の、ありがたいお言葉が添えられていました。

まとめ

英文法書の通読です。これが大事。

私は偏差値50の時代がありません。40から65までいきなり飛んでいます。その間にやったことは、単語文法です。単語はまだ完璧ではありませんでしたが、山口英文法はほぼ覚えていました。逆に言うと、文法書を通読していない人って意外に多いのではないでしょうか。

構文精読解釈読解など、授業や書籍の都合で名前を色々つけてあり、勉強範囲がやたら広く見えてしまいます。しかし、要はどれも文法のことです。安河内先生の「はじめからていねいに」でさえ中身は英文法の解説です。正統派ですね。

ただし、下線部に出やすいところをピックアップしていある点で、「英文解釈」などの本も意味はあります。

例えば、couldと言えば、文法的には canの過去形だったり、その他もろもろ並列にいくつかの意味があります。しかし、下線部で問われる時は、高確率で『仮定法』です。例え if節が隠れていようとも。

よって、解釈の本をやる意味はあります。しかし、まずは文法書です。特殊例をやる前に、一般的な理解を進めましょう。

余談:大西先生の性格

あくまで“推測”です。軽いお話として聞いてください。手がかりは2つ

  • 「~すべき」が多い
  • 「ネイティブ」と言いたがる

一億人の英文法でも、「前から順に読むべき」「索引はつけるべきではない」「10日以内でやるべき」など、こだわりが強い性格です。「~すべき」型の人は、周囲と軋轢を生みやすいです。

本人はネイティブではないのに、やたらネイティブ側に身を置きたがります。先生は個性の強いタイプですから、学会の「老害」な人々に押さえつけられた経験があるのではないでしょうか。

だから、何か強い後ろ盾を欲しがる。自分はネイティブ側のハートを持った人間だと主張したがる…というのは私の妄想です。

ぴよ太郎
何かを成し遂げる人というのは、決して素直なだけではやっていけないということだ

霊夢
こ、個性ね。個性的だといいたいのね

魔理沙
ああ、人間的にはやっかいなやつだと言いたいんだな

おしまい。次回は文法問題集のことです。