高校生の英和辞典 片っ端からレビュー&5選

ぴよ太郎
今回は、高校生が使うのに最適な、紙の英和辞典を紹介しようと思う

霊夢
今どき、電子辞書じゃなくての辞書なの

ぴよ太郎
ああ、紙には紙の良さがある。それに学校では紙の辞書が指定されているのではないかな

今回は、高校生が使う、紙の英和辞典をを紹介します。これらは中辞典と呼ばれています。大辞典は筋トレ用です。

中辞典は、収録項目数によって大きく四つのグループに分けられます。5万7万10万13万項目四種類です(ぴよ太郎氏の分類より)。最後にあのぴよ太郎氏推薦5選の辞書を紹介します。

いつものごとく記事が異常に長いので、手っ取り早く知りたいかたは目次から飛んでください。

紙の辞書について

自分の使っている辞書が酷評されると嫌な気分がするものですので、できるだけマイルドにいきます。できるだけな(by 富澤)。

紙の辞書には電子辞書にはない良さがあります。単語を調べるだけなら電子辞書の方が早くて便利です。よって、紙の辞書の生き残る道は、読んで面白いかという点にシフトしてきていると思います。

できるだけマイルドにという前振りをしておきましたが、いきなりバッサリいきます。高校生用辞書として、項目数が7万未満と、13万以上の辞書はお勧めしません

5万項目クラスの辞書は、字は大きいですが中身控えめです。むしろ、字が大きいから中身が薄味になっているという本末転倒っぷり。辞書の面白味もカットされてしまっていると思います。

ちなみに、私が高校に入った時はまだジーニアスが出ていませんでした。高校推薦だったのかな、私は「ニュークラウン(新クラウン)」という現在で5万項目のものを持っていました(使ったとは言っていない)。うん、辞書のせいじゃないね。

次に、13万項目以上の辞書。字が小さいうえに、黒一色で見にくいです。また人間の持てる重量には制限がありますから、項目を増やしてもそれほど重くはできません。見出し語は多くとも一つ一つの単語の説明は薄いです。13万以上の項目なら電子辞書の方が良いと思います。

10万項目辞書は、各社の代表的な中辞典が揃っています。ジーニアスもここです。高校だけでなく、大学、社会人になっても使えるというのが売りです。ただし、7万クラスと比べると字が小さい。老視(老眼)絶賛進行中のぴよ太郎氏には少々厳しいものがあります。

7万項目辞書は、高校生の学習用に厳選編集された「学習英和」と呼ばれるものです。書いてあることは10万のものと大体同じです。が、中には独自の工夫を凝らし、単なる縮小版に留まらないものもあります。高校生用は毎年一定の売り上げが見込めるためか、近年、各社とも力を入れているクラスだと思います。

どういうところがカットされているかというと、along 「~に沿って」であれば、3つ目の意味「(方針)に沿って」がカットされています。また、高校の範囲で出ない単語は抜かれています。

カットは悪いことばかりではありません。いわば究極の単語帳は辞書です。でも全部覚えられないでしょ。どこまで絞って提供できるかが単語帳編者の腕の見せ所になります。同様に、7万項目辞書もカットの具合で理解しやすくなることがあります。

何を見るか

ぴよ太郎「これはあくまで私のやり方なので注意。全体の印象ではなく、各要素を抽出してみているんだ」

霊夢「どこに注目するの」

ぴよ太郎「今回は、次の3つの単語に注目した。1.along2.obscure 3.spontaneousだ」

along

最近の辞書は、語のイメージ図を載せてあることが多いです。それをこの単語で見ました。

obscure

obscurevagueambiguous、equivocal の区別はつきますか?はじめの3つは高校の範囲の単語で、私は全て「あいまいな」で覚えていました。まさに曖昧!これに各辞書がどこまで言及しているかを見ました。

ちなみに、これらの違いについて一番分かりやすいのは、単語集の『鉄壁』です。オーレックス英和辞典の説明と合わせると、

vague は「輪郭がぼやける」、つまり不正確な曖昧さです。

avoid a vague expression は「(不正確な)曖昧な表現は避ける」という意味です。

obscure は「薄暗くてはっきり見えない」、つまり不明瞭・不十分な曖昧さです。

rephrase an obscure expression は「(不十分である)曖昧な表現を言い直す」という意味です。

ambiguous は「2つ以上の意味にとれる曖昧さ」です。例えば Japanese book と言えば「日本の本」と「日本語の本」のどちらにも取れます。そういう曖昧さです。

equivocal は ambiguous と似ていますが「故意に2つ以上の意味に取れるようにした曖昧さです」。「真意を知られないように曖昧な返事をする」、ような時に使います。単語帳だと単語王にだけ vague の類義語として挙がっていますが、入試の範囲では出ないでしょう。

高校生の範囲でどこまで単語のニュアンスを覚えるか議論の余地があると思います。実際、単語集で違いが載っているのは『鉄壁』だけです。Core1900ではほぼ同じ意味の「≒」として載っていますし、単語王でも区別していません。

しかし、私は単語の微妙な区別のためではなく、単語をイメージとして捕らえること自体が重要だと思っています。例えば「goal」という単語は、「ゴールに到達」するや、サッカーの「ゴール」などで使いますが、ほとんどの人はイメージと結びついていると思います。red,blue,green などの色もそのままイメージが湧きますよね。

それと同じで obscure と聞けばこの薄暗くて見にくいイメージが湧くと、日本語に直さずとも、理解することができます。それこそ言語理解の本質だと思います。

逆に vague や obscure を『あいまいな』という言葉に変換して捉えている段階では、自由に読んだり聞いたりはできないと考えます。

spontaneous

昔の英和辞典は、第一義に「自発的な」という訳を持ってきていました。しかしそれでは voluntary と区別がつきません。こっちは名詞の volunteer (ボランティア)からも分かるように「自分の意志からの自発性」です。

対して spontaneous は「自然発生的な、自然の感情から起こる自発性」です。

現在のほとんどの辞書は、「自然発生的な、自発的な」という順になっていますが、時々そうなっていないものがあります。

as if~

ついでに、as if の説明にも各社特徴が出て面白いところです。

旺文社

オーレックス

オーレックス英和辞典 第2版新装版10万5千項目辞典。今、手元にあるのはこれです。

一般に、10万辞典は7万と比べて読みにくいのですが、この辞書は例外で割と読みやすいです。

類語の説明が詳しく、例えば「ambiguous」のところに「あいまい」類の説明があります。

そして特に人気の高いのが「PLANET BOARD」です。英・米のネイティブ103人に自分の使う表現を聞いた結果です。例えば「as if~」。

私の文法知識では、これは仮定法なので(c)です。しかし、ネイティブの感覚は必ずしもそうではないようです。

英語は言葉なので、実用上は文法から少しずれたところがあるのですが、それが分かって面白いです。

ただし、「PLANET BOARD」はそんなに多くあるわけではありません。全部で100項目です。

コアレックス

コアレックス英和辞典7万項目辞典。

オーレックスが10万5千÷2368ページ=1ページ当たり44項目、対して7万÷2016ページ=1ページ当たり35項目。つまり、字が大きい!

この辞書は、オーレックスの単なるダウングレード版ではありません。オーレックスの3人の編者のうち、おそらくエースが1人で作っていると思われます。なので一味違います。

例えば、先ほどの「あいまい」類の説明では、高校生では使わない equivocal は抜いてあります。さらに各説明もシャープカットして、分かりやすくなっています。これは違う項目の説明で、旺文社のページに載っているものですが

さらに、ページに余裕があるため、イメージ図も追加されています。オーレックスには along のイメージ図がありませんが、コアレックスにはあります。

また、「PLANET BOARD」の項目が異なります。先ほどの as if はありません。が、逆にオーレックスにない Maybe がコアレックスにはあります。

というように単なる下位互換になっていません。むしろ、鋭く磨き上げられている印象を受けました。

研究社

リーダーズ英和辞典(28万項目)を出しているところです。リーダーズ英和中辞典(18万項目)もあります。が、この規模なら電子辞書の方がいいです。ここだけの話、重くて、黒くて、見にくいです。

ルミナス

ルミナス英和辞典 第2版 (函入り)10万項目辞典。編者陣や中身は7万のライトハウスと似ています。ただし、最新バージョンが2005年で、こちらの改訂は止まっています。中身はほぼ同じなものの、読みやすさはライトハウスに分があります。

同じ研究社の10万辞典に新英和中辞典 [第7版]がありますが、編者陣はこれもほぼ同じで最新バージョンが2003年です。7版と伝統のある辞書ですが、同じ編者陣でルミナスに切り替えたものと思われます。黒一色でとても読みにくいです。

ライトハウス

ライトハウス英和辞典 第6版7万項目辞典。ルミナスを基礎としていますが、一転してかなり読みやすくなっています。研究社はこちらに力を集中してきたと思われます。

along のイメージ図もあり、「あいまい」類の説明もあります。ちなみに、この類語説明があったのは先の旺文社とこの研究者の辞書だけでした。が、ルミナスからのコピペで、 equivocal も入っています。説明も obscure,vague ともに不明瞭という語で締めており、旺文社と比べて不明瞭ですな。

along の内容もルミナス同じだったと思いますし、単にルミナスから単語数を落としただけで磨きあげていないかも。とはいえ、見やすいという特長は学習英和辞典では大きなアドバンテージだと思います。

学研

アンカーコズミカ

アンカーコズミカ英和辞典 (高校生向辞典)9万項目辞典です。非常に評判の高い辞書なのですが、今回書店にありませんでした。

最新版が2007年と改訂が止まっている感があります。学研も7万辞典の方に力を集中させているのかもしれません。

10万項目辞書は、高校生にはやや過剰、老眼生には過小で見にくい…

スーパー・アンカー

スーパー・アンカー英和辞典 第5版7万2千項目辞典。こちらは順調に改訂されていっているようです。

すごく読みたくなる辞書です。「英作の落とし穴」で使用法を間違え易い語を取り上げたり、「日・英比較」では日英の文化や発想の違いを教えてくれます。

これです。紙の辞書が電子辞書に勝つには、この部分を磨き上げて行くのが良いと思います。なぜならば、ただ単語の意味を調べるだけなら電子辞書どころかネット辞書の weblio でよくないですか?

三省堂

ウィズダム

ウィズダム英和辞典 第3版10万2千項目辞典です。医学部受験の時これの初版を使っていました。

理由は簡単。勉強できる女の子が使っていたからです!まあ、私はほとんど単語帳を辞書代わりにしていましたが。大学入試って何なんでしょうね(遠い目)

ジーニアスの後発組は、それを越えようと色々工夫を凝らしていると思います。ウィズダムは説明の詳しさで正面から対抗している感じのする辞書です。along のイメージ図もありました。購入するとWeb版の利用もできるようです。

ただですね、これ異常に字が小さいと思います。あと、情報がごちゃごちゃしていて、非常に見にくいのが惜しい。若者は眼の調節力が高いので、これでもいいのかな?

グランドセンチュリー

グランドセンチュリー英和辞典 第4版7万6千項目辞典です。同じ三省堂ながら、ウィズダムとは製作チームが違うようです。えっ、創刊30年!こっちの方が伝統あるのか。

「あいまいな」類のことも、類語(→obscure)という感じで、行先は知らせてくれています。一通りのことは揃っている辞書だと思います。

ただ、全体的に整理が上手くない。7万項目辞書特有のサービス精神がないというか、あまり特徴が感じられない辞書でした。

東京書籍

アドバンストフェイバリット

アドバンストフェイバリット英和辞典10万項目辞典です。評価の高い辞書で、語源が載っています。ambiguous だと ambi- の部分に“両側の”という意味があるのか。

確かに ambivalent というと「相反する感情」です。同じくambiguous は「両義に取れる→あいまいな」となるのですね。

along のイメージ図も載っています。当時としては最先端だったのかも。ただ、この辞書2002年に出版されてから改訂されていないです。「時代を反映した時事用語」というキャッチフレーズが、わび・さびを感じさせます。

フェイバリット

フェイバリット英和辞典6万2千項目の時点です。

2005年以来、改訂されていません。

これアドバンストフェイバリットの下位互換だと思います。alongイメージ図が消えています。私は、学習英和の方にこそイメージ図を載せたほうがいいと思います。

大修館書店

ジーニアス

ジーニアス英和辞典 第5版10万5千項目辞典です。言わずと知れた、英和辞典のベストセラーです。

私が高3の終わりに初版がでました。その後、90年代はこの辞書一強。たぶん、今の先生やみんなのお父さんも使ってたんじゃないかな。

他社の辞書は、これを越えようと努力し腕を磨いてきたのだと思います。私は2000年以降に出てきた辞書は、十分対等だと思いますが、いかがでしょうか。

ぴよ太郎氏5選

第5位

ジーニアスに正面から対抗しようとしている辞書。スマホアプリとして利用できるところも時代を先取りしている。ただ、字の小ささと、ごちゃごちゃ感だけはどうにかして欲しい。

第4位

読みやすい。学習英和はやはり読みやすさが重要。語句はルミナスからそのまま持ってきているようだが、可読性にかなり力を入れている。ただ、これとプログレッシブは、spontaneous の訳に「自発的な」を真っ先に持ってくるところが惜しい。

第3位

自分が持っている辞書。なんといっても「PLANET BOARD」は面白く記憶に残りやすい。また、10万項目辞書にしては見やすい。が、老視の進行により、ぴよ太郎氏ピンチである。

第2位

今、逢いに行きたくなる辞書。もとい、読みたくなる辞書。今回チェックポイントの along のイメージ図や「あいまい」類の説明はなかったが、それでも良い。他の類語は十分に載っているし、“英作の落とし穴”や“日英比較”など、これを使えば勉強するのがきっと楽しくなるだろう。

第1位

切れ味鋭く磨き上げられている辞書。編者の頭脳の明晰さが伝わってくるようだ。この辞書はオーレックスの単なる縮小版ではない。「PLANET BOARD」のみならず、中心義句源反意語など内容が充実している。きっと君の未来を切り開いてくれることだろう(すまない、ちょっとカッコつけた)。

高校生の英和辞典は、私は7万項目のものが良いと思います。特に1位、2位は全ての高校生にお勧めできます。

難易度の高いとされる専門用語のようなものは、覚えてしまえば終わり。それ以上奥深さのない単語です。電子辞書どころか、ネット辞書で十分。そうではなく、よく見かける単語を深く学習することの方が意味があると考えますが、いかがでしょうか。

第0位

何ということでしょう…こんな素晴らしい英和辞典があったなんて。これは紹介せざるを得まい。

 

学習者にしっかりとイメージを刻み込む例文

さらに下のコラムがまた素晴らしい。

The Force will be with you… always.

つないだ手をはなさずに 笑顔忘れずに…(それは歌の always)

またね。

記事に出てきた書籍