漢文の参考書

ぴよ太郎
今回は漢文参考書比較だ。実際に私が持っていた定番の二冊を紹介する

霊夢
えっ、二冊だけ

ぴよ太郎
うむ。数が過剰になるのもよくあるまい。その代わり、詳細に見比べていくよ

定番の2冊、「漢文早覚え速答法」と「漢文ヤマのヤマ」を紹介します。私の記憶によると、初版は前者が1991年、後者が1994年だったんじゃないかな。違ってたらごめん。

改訂しながら今も最前線で生き残っているというのは凄いことです。

早覚え」が出版される前は、ちゃんとした参考書がなかったように思います。学校や予備校の授業が全てという。逆にこれらの本が原因で、センター漢文のレベルが上がったのかも…

参考書比較

これが今回比較する参考書です。今は手元にないのですが両方持っていました。

今回の記事を書くために何回も書店に寄ったのですよ。私が行くと毎回、店員さんが近くに来てほこり取りで掃除を始めるのですが、気のせいでしょうか?

いや、きっと気のせいではないな。私に好意を抱いているのですね!

と、軽くリアルなボケをかましたところでやっていきましょう。比較は前回紹介した項目に沿ってやります。

略称で前者を“早覚”、後者を“ヤマ”と呼んでおきましょう。

1.返り点
2.句形(文法)
3.再読文字
4.漢詩
5.漢字
6.置き字

返り点

漢文の基本中の基本のところです。が、早覚には載っていません。一方、ヤマはそれぞれ見開き2ページに練習問題までつけて、数ページやっています。こっちはやり過ぎです。

前回紹介した受験のミカタさんの「返り点とは?」  を見れば初学者でも十分でしょう。

句形

早覚メインコンテンツです。コンパクトに10講にまとめてあります。素晴らしい。

著者の田中先生はとても好戦的な人で面白い。おそらくヤマを意識して言っています。

例えば「疑問形」の項目では、このようなニュアンスのことが書いてありました。

世間のほとんどの本は、「何―」を「なんゾ」と読ませるところからはじめているが、なんゾと読むときは反語だ。これは「なにヲカ」で教えるべきだ』⇒ヤマは「なんゾ」から始まっています。
終末の助字「乎、哉、」の読みは、「上が終止形なら→や 連体形なら→か」と教えているがこれは間違いだ。「な、いで始まる疑問の副詞→や 助字単独→か」が正しい』⇒ヤマは前者。(邪はあとでプレテストの問いに出てきます)

という具合です。パワーアップ版になって、好戦度パワーアップしています。


一方、ヤマは句形以外も含めてですが66講。なぜそんな多いかというと、例えば早覚で反語にまとめてあるものを、ヤマ一つ一つばらして項目にしているからです。

項目に関しては過剰だと思います。例えば使役早覚は「使(令)」を紹介しています。ところが他にも「 めいジテ―シム」というのもあります。

しかしですね、これは設問として易しすぎるのでは。「命じて」などと言ったら使役がバレバレです。普通に読めますし。これを見開き2ページとって、例題までつけなくても…

ヤマは全てにおいて丁寧です。しかし、項目ごとの重要度、すなわち重み付けが上手くできていません。

ここで、プレテスト問4を見てもらいましょう。左の青い枠内は、本文の棒線部のところです。

ヤマに書かれている重要事項は「」(「乎、哉、耶」なども同じ)の読みです。

疑問形の場合、上が終止形なら「や」、連体形なら「か」。反語形の場合「んや」と読むとのことです。…頭が痛くなってくる上に、「なる」は終止形も連体形も「なる」です。

一方、早覚は助字単独なら「か」。ゆえに疑問、で一発です。

今ね、Googleで「漢文の句形一覧」で検索した一番上のPDFファイルを見てるんですよ。東京書籍のもののようで、とても見やすい。

これによると、助字単独で疑問の「」と読む場合もあるようです。

つまり、早覚の記述は正確ではなく、逆にヤマは一事が万事やり過ぎです。どうしましょうか。

そうですね。ここはぴよ太郎先生に任せるしかないですね(≧▽≦)

本文から持ってきた青い囲いを見て下さい。「」に「」と振り仮名が打ってあります。読み方書いてあるじゃないですか!

ここです新試験は単独の「」に振り仮名を打つと宣言してくれているのです。つまり「か」と読ませたうえで、反語疑問かの区別を聞くと。「邪」の区別までは聞かないのです。

散髪に例えると、田中先生は早さを重視して大胆にカット。しかし、カットし過ぎて頭皮まで削れてる。三羽先生は懇切丁寧。しかし5時間かかってる。「丁度いいやついねーのかよ」(by 小峠)

ところで、新試験はそうだとして、センター試験はどうなのでしょう。「そんなの知らねーよー」と思っていたら偶然見つけた。2005年の本試に「」に「」と振り仮名が打ってあります。うん、やはりセンターでも「」の読みは問われていません。

しかしこれ、「や」と読むので“疑問”かと思ったら、文脈からして“反語”だ。調べてみると、「や」単独で反語もあるようです。「漢文、例外だらけじゃねーかよ!」(by 小峠)

私はこんな細かい区別で苦労した覚えはないです。二次試験ではこの区別をやるのでしょうか。

再読文字

この項目は、ヤマ圧勝です。再読文字に関しては、見開き2ページで丁度いい分量だと思います。

対して早覚は、再読文字の項目がありません。「コレだけ漢字92」の中に、漢字の一つとして載っているだけです。1ページの1/4という少なさです。

ここで、プレテストのもう一つの再読文字の問題、問2の(イ)を見てもらいましょう。

左は本文からの切り抜きです。これ読解問題ではなくて文法の知識問題です。全選択肢が句形か再読文字の読みです。

は比況形「猶」の訳、は疑問か反語の訳、は限定形「唯」の訳です。

は少し区別が難しいのですが、英語の「should」なので再読文字「須 すべかラク~ベシ」の訳、が「must」なので再読文字「当 まさニ~ベシ」の訳で正解です。

ここは少し難しいところがあって、ヤマによると

本来『』は「当然」の意で「~しなければならない」、『』は「(当然の)推量」の意で「きっと~だろう」。ただし、『当』と『応』は混同して使われることがよくある

とのこと。まさにその通り、ピタリの解説です。素晴らしい。

ちなみに、ぴよ太郎先生はそのような細かい知識を持つはずもなく、『当、応』はmust、『須』はshouldと大雑把に覚えています。それでいいのか?

一方、早覚は、再読文字の独立した項目がないのに加え

1.見出し語が旧字体の方『(=当)』
2.訳が「当然」の「~しなければならない」だけしかない
3.そもそも『』が掲載されていない

再読文字が、「コレだけ漢字92」の中にバラバラに点在しています。しかも、漢字92は『軽く見ておこう』という感じで、重要である雰囲気が伝わってきません。

ただし、『当、応』以外の再読文字に不備はないように思いました。再読文字は重要なのですが、10個程度をパパッと覚えてしまえばそれで終わり。それ以上奥の深いものでもありません。

漢詩

漢詩のことは、私が前回の記事に書いたくらいもので、覚えることはそんなに多くありません。しかし、プレテストでの出し方が特徴的でしたので、今後出題される可能性は大です。必ず、勉強しておきましょう

早覚は付けたしのような感じですが、終盤に3~4ページ程載っていたと思います。

一方、ヤマには載っていませんでした。ただし、問題演習の中にセンター過去問として取り上げられています。

漢字

これが問題なのですよね。漢字なので、我々は元々ある程度は知っています。そして、現在と意味の違うところが狙われるわけです。

早覚は「コレだけ漢字92」として取り上げています。しかし、その中には再読文字も入っているので80個程度ですね。

ヤマは書籍の中で50個ずつ×2回取り上げていますので100個です。

先ほどのプレテスト問4で疑問・反語以外に、「」の意味が問われていました。「あなた」という意味です。これヤマでは取り上げられていますが、早覚では取り上げられていません。

ただ、早覚では句形の説明の中に、普通に「子」が出てきますので“ない”というわけでもありません。

置き字

文中で読まない字なのですが、全く意味がない訳ではありません。いくつかあるのですが、センターで出るのは受身・比較の意味を添える「」くらいだと思います。

早覚比較の項目の中で取り上げています。ヤマは例によって項目を設けて取り上げています。

まとめ

まず、間違えて欲しくないことはあくまでメイン過去問だということです。

ネット上で『○○参考書をやったら、センター試験で高得点とれますか?』との質問をしている迷える子羊がいますが、違うそうじゃない!

高校生が学ぶ範囲は決まっているので、形は違えど、同じ要素が何度も何度も出題されているのです。特にセンター試験は問題が良質なのでやる価値があります。これは全教科共通です。

特に、漢文は範囲が狭いのでそれを実感できます。一番初めに漢文を仕上げて体感しておくと、過去問へのモチベーションが上がると思います。

また、一つ得意を持っていると国語の点数が全然違ってきます。時間に余裕ができるからです。

ぴよ太郎の選択

河合塾に入る前のことですが、「漢文早覚え速答法」を2日でやった後、過去問をやりました。

過去問は15分で解いて見直し15分くらいなので1日1時間で2題。27回分でも2週間あればできます。私は漢文パートばかりを集中してやったので3日

あとは、予備校から出ているいわゆる実戦問題集です。各予備校の過去のマーク模試を集めたものなのですが、河合塾駿台から出ているものをやりました。

そして、分かりにくいパートだけ「漢文ヤマのヤマ」の該当部分を見ました。早覚の再読文字が不十分なのは、当時から感じていましたので。

見直し含めて2週間で終わりとしました。

どこまでやるか

これでほぼ全てです。

実は、予備校でも漢文の授業には出ませんでした…そもそも漢文の授業ってあったのかな?とはいえ模試はありましたし、そういう時に参考書も見直していました。

そして、当初はできると思っていたのですが…さすがに40以下はなかったものの、模試で42、45辺りを取っていました。最後は古文にも抜かれました。

でもそれで良かったのだと思います。受験勉強は各科目で時間の取り合いになります。9割のものを10割にするよりは、野生の勘で6~7割しかできていなかった古文に時間をかけた方が良かったからです。

っていうかー、古文って1/4科目と思えないほど時間かかるんですけどー(女子校生のイメージ)

「早覚VS ヤマ」

評価の前に一つ重要なことを。これらの参考書、別にセンター用とは言っていないです。私が勝手にセンター用に使っていただけです。よって、これは評価とは言えません。ただの感想です。

その上で感想を言うと、センター対策用の書籍としては『帯に短し襷に長し』です。(すまない、ちょっとカッコつけた)

まず、漢文ヤマのヤマに関して。書籍からも三羽先生の真面目さが伝わってきます。しかしですね、各項目の重みづけができていません。どこかのサイトの感想に「二週間でできました」と書いている人がいましたが、確かにこの本を真面目にやればそのくらいかかるかもしれません(文系のかただったら済まぬ)。

けれども、センターのみであれば、その二週間は過去問を解くことに費やしたほうがいいと思います。漢文は1~2日の準備で問題を解き初めていいです。

そして、早覚え速答法。早くできるのが最大の魅力です。おそらく田中先生は分かった上で、思いっきり削ってきています。時々、早覚え速答法には間違いがあるという人がいますが、その割には根拠を挙げていません。そして、1か所間違いを見つけたくらいで全部を否定できた気になるのは、浅はかな考えです。

みなさんはそういう大人になってはいけません。欠点は誰にでもある。いいところを探すのです。

という壮大な前振りをしておいた上で、「やっぱり、早覚削り過ぎじゃないですかね!」少なくとも再読文字は項目として取り上げて欲しいものです。

あと、参考書に「演習問題が付いているかどうか」を気にする人もいるかもしれませんが、いらないです。過去問全部解いてまだ足りなければ、その時に問題集の追加を考えて下さい。

ぴよ太郎
1冊で基本を速攻確認→過去問の漢文だけを集中的にやる。2週間も経たず完成だ!

魔理沙
(ビシッ)当然、載ってるやつ全部よ。わざわざこのページを見てくれている人なら絶対できるわ♡

ぴよ太郎
ああ。古文、漢文に才能など関係ない。学年すら関係ない。やれば出来るしやらなければ出来ない。君は当然ヤル側の人間であると、私は確信している!

霊夢
そして、もちろん過去問は赤本ではなく、河合塾黒本ねなぜならぴよ太郎は河合塾の回し者だから なぜなら、黒本は解説がしっかりしているからよ!

またね。

記事に出てきた本